エリック・サティの家

「写楽の家」と同じ企画、異なる年の住宅のアイディアコンペ案。

当時の自分は、建築家・斎藤裕氏撮影の写真集で紹介されたルイス・バラガンの建築空間に魅了されていた。

彼の作品はその魅力的な色彩で広く知られている。だが実は、大小さまざまな空間要素の「交差」のさせ方に妙味があり、ビビッドな色彩はその空間の「塗り分け」による強調なのではないか、というのが当時の自分の見立てだった。(現在では上記に加え、やはり色そのものが空間と並ぶ存在なのだ考えているが。)

「交差領域」と名付けた(別に自分が初めてというわけではないだろうが)、この現象は、

・空間の軸線上を横切る別の空間の気配
・透明な水を湛(たた)えたプールという「水のヴォリューム」に射し込まれてゆく階段
・中庭と空気・光と繋がりながら同時に屋内的な修道院の回廊
・桂離宮の建築群の深い軒下と、そこに内外判然としない形で置かれた「へっつい」の作る印象

などにも潜んでいるように感じられた。

「空間」には、それを「持ち来たらす媒質」(メディア)がある、というのが、自分なりの発見だった。

「レッドカーペット」のように面的なもの。広場にぽつんと置かれた彫刻のように点的なもの、「フレーム」のように立体的なもの。
それぞれが、面状に、放射状に、ヴォリューム状に、「空間」を発生させ、異なる空間が「交差」するところに自分の好む「妙味」が生まれる、と考えた。

サティのピアノ曲を聞いていて、コンペ案のコンセプトはすんなり出た。

地面下で交わされる
右手と左手の響き
彼と彼らの対話が
地面上に作品化する

しかし模型制作に手間取っているうち、やはり提出は間に合わなくなってしまった。

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