修行中の若いお坊さんが野山をめぐるときに首から下げる大きな袋のことを「頭陀袋(ずだぶくろ)」と言います。
なんでもかんでも入れておける袋です。
この住宅は計画時、「ずだぶくろ案」と呼ばれていました。
クライアントは結婚したばかりの夫婦。
子供はまだいない。予算も限られてる。
家族は多い方が楽しいけど、この先どうなるかはまだ分からない。
土地の広さは限られているけど、できるだけ広々と暮らしたい。
この住宅は、そんな2人のための「頭陀袋」です。
まずはこれを目一杯膨らませて、2人で広々と暮らす。
必要な部屋や、新しい家族が増えたら壁で仕切ってもいいし、吹き抜けに床を張ってもいい。
建築用語で言えば、増床可能な2層スケルトン*(外殻)ということになります。
竣工して17年、2人には双子の男の子が生まれ育ち、近々、2階を区切って個室を作るそうです。
*)増床には構造その他適法性の検討が必要
場所:京都府宇治市
竣工:2004年
施工:(株)ウエダ工務店
種類:戸建住宅
構造:木造
規模:地上2階建て